W G 活 動
W G 活 動
共通問題WG
TC 201/SC 1:用語
スコープ:表面化学分析で使われる用語を厳密に定義し普及させる
表面化学分析で使われる用語を定義した規格を作成してきました。時代とともに進化する新しい装置に関する用語を取り入れ、わかりやすく編集し直してきました。今後は、バイオマテリアルや光による界面解析など新しい表面化学分析に関する用語を定義した規格を作成するとともに、既に定義済みの用語についても見直していきます。
TC 201/SC 2:一般的手順
スコープ: 表面化学分析で必要となる試料の取り扱い方法、標準物質、結果の報告などに共通の基準をつくる
表面分析で要求される試料の取扱い、搬送、保管、装着や表面処理に関する指針、記録・報告に関する指針を規格化し、実態に合わせて見直してきました。今後は、 空間分解能とシャープネスの決め方についての規格化およびバイオマテリアル、ナノマテリアルを加えた試料の取り扱いに関する指針の規格化を進めています。
TC 201/SC 3:データ管理と取り扱い
スコープ: 表面分析データを異なる機種間で相互に交換するための世界共通のデータ構造の検討および世界共通のデータ処理法を検討する
表面分析データの転送フォーマット、情報フォーマットを規格化してきました。異なる機種間のデータを処理するソフトウェア(COMPRO)のデータ構造に採用されています。今後は、「ピーク検出」「XML を用いた共通データフォーマット」「データ融合技術を使う AFMデータフォーマット」「多変量解析」など新規格案として議論されています。
電子分光WG
TC 201/SC 4:深さ方向分析
スコープ:AES/XPS における深さ方向分析の定量性や再現性の確保
イオンビームのアライメント方法、深さ分解能・界面幅の定義、時間から距離への換算方法、イオンスパッタ条件の最適化、スパッタ速度の計測法の標準化の検討。今後は、 上記の活動に加えて、深さ方向分析時の界面位置や界面幅のレポーティングの仕方についてのガイドラインの検討を行います。
TC 201/SC 7:電子分光法
スコープ:AES/XPS による組成分析ならびに化学状態分析の定量性や再現性の確保
AES / XPS による材料の表面評価における信頼性の向上のための装置校正法、測定法、データ処理法等の標準化、XPS による薄膜測定手順の明確化。今後は、 上記の活動に加えて、AES / XPS の定量結果の再現性を確保するためにスペクトルの処理方法のレポーティングの仕方の検討を行います。
イオンビーム WG
TC 201/SC 6:二次イオン質量分析法
スコープ: SIMS 関連分析法に関する装置校正法、装置操作方法、データ測定法・解析法、定性・定量分析法などの標準化
高精度な SIMS 分析の実現を目指して、濃度軸や深さ軸の校正、質量軸の校正法、飽和強度の補正法、スパッタリング収率の決定法の開発しました。今後は、 有機2 元混合物の定量法、機械学習を用いた有機物スペクトルのデータ解析法の開発に取り組んでいきます。また、質量分解能の測定法規格案を審議します。
GDS WG
TC 201/SC 8:グロー放電分析法
スコープ:グロー放電発光分光及び質量分析の標準化
グロー放電発光分光分析及びグロー放電質量分析の装置の進歩に対応し、定期的にそれぞれの分析法通則を改訂する。グロー放電質量分析では、2020 年に装置の進歩に対応した第2 版が発行された。グロー放電発光分光分析では、工業的に重要な自動車・電気用表面処理鋼板や金属表面酸化被膜の深さ組成を迅速に分析する方法の標準化を行われているが、現在、「グロー放電発光分光分析による鉄基材上の金属ナノレイヤーの分析」の規格を開発中である。この国際規格は、鉄基材上の単一および金属のナノレイヤーの単位面積当たりの厚さおよび質量を決定するためのグロー放電発光分光分析法を規定する。この方法は、鉄基材上の5 nm から100 nm の厚さの単一および金属のナノレイヤーに適用可能である。ナノレイヤーの金属元素は、Cr、Ni、Ti、Mn 及びAl であり、この国際規格に従って定量することができる他の元素は、O、C、P 及びS である。
SPM WG
TC 201/SC 9:走査型プローブ顕微鏡法
スコープ:TC201は表面化学分析分野の標準化を所掌します。表面化学分析には、電子、イオン、中性原子または分子、または光子のビームが試料材料に入射し、散乱または放出された電子、イオン、中性原子または分子、または光子が検出される分析技術が含まれます。また、プローブを表面上で走査し、表面関連の信号を検出する手法も含まれます。※上記の中で、表面上を走査するプローブに関する規格をSPM-WG では審議します。
ナノプローブ表面分析の標準化
国内からの提案を軸に、海外機関と協力しながら、標準化を推進しています。国内から提案した規格では、プローブ断面形状測定方法(ISO 13095)に続いて、局所弾性率の測定方法(ISO 21222)がISO規格となりました。現在、カンチレバーのガイドライン、局所キャリア濃度測定のガイドライン、画像再構成方法(3 次元形状測定のための規格)、局所電位計測法(ケルビンプローブ力顕微鏡法)、ナノ粒子寸法の計測法、ナノ粗さ測定法などの審議が行われています。いずれも、走査型プローブ顕微鏡でなければ測定できない分野ですが、再現性のある計測が非常に難しい課題です。ナノ粒子の寸法測定は、球状ナノ粒子では、粒子の両側に探針形状が重畳されてしまう影響を避けるために、高さを測定しています。3 次元形状については、ISO のエキスパートの方々で、議論が進みつつあります。このように、プローブ顕微鏡メーカーや分析機関のエキスパートの方々の協力を得て、日本発の規格となるように努めています。2020 年1 月に出版されたISO 21222 規格(Procedure for the determination of elastic moduli for compliant materials using atomic force microscope and the two-point JKR method;JKR 2 点法による弾性率測定法)は、国内外のメーカーにも採用されつつあります。このJKR2 点法は、プローブ顕微鏡固有の問題である、探針先端と試料間の凝着力の影響を考慮して、より精度の高い局所物性値を計測するために開発されました。その他、SPM の実用(現場向けの方法で英国提案)校正法、温度変化の影響(中国と米国の共同提案)、格子定数を利用した校正(米国)等が、TC201 SC9 で議論されており、SPM-WG でも海外と連携して対応しています。プローブ顕微鏡の最も重要な用途の1 つは、ナノスケールでの材料評価技術であると考えていますので、弾性率(ISO 21222) に続いて、局所電位計測法やナノ粗さ測定法の規格化が円滑に進展するように、運営しています。このような規格化においては、学術的なバックアップも重要であるため、学術振興会の産学官連携委員会(167 委員会)、日本顕微鏡学会、日本表面真空学会等のアカデミアとも連携して、国際標準化を推進しております。
X 線表面分析WG
TC 201/SC 10:X 線反射率法及び蛍光X 線分析法
スコープ: XRR及びXRFを用いた表面化学分析及び構造解析のための装置の要求事項、校正法、操作法、データ収集法、データ解析法等の標準化
XRF の標準化活動は、シリコンウェーハ上の微量金属汚染の定量分析に関するものから始まりました。現在、XRF による定量分析のニーズは、大きな広がりを見せています。近年における環境問題への取り組みや、食の安全・安心への関心の高まりに連動して、XRF による、水の定量分析法に関する規格が発行されました。加えて、大気中の微粒子、排水に含まれる元素、薄膜材料等を対象とした標準化に関する議論が行われています。また、X 線反射率法による薄膜材料の膜厚、密度、界面粗さの精密な評価のための装置や試料位置調整法等の包括的な要求事項に関する規格が発行されています。
バイオWG
TC 201/WG 4:生体材料の表面分析
スコープ:生体材料表面分析に関する試料の準備法、装置の仕様 ・ 設定などの標準化
本WG ではMALDI-IMS やTOF-SIMS など生体材料・生体試料の表面解析のために必要な試料の調整法、装置の調整法、データの取得方法、解析方法等について標準化を進めます。日本での本WG 国内委員会は2015 年度に設置されました。まだ活動期間は短いですが、SC 2 と共同でバイオマテリアル(生体材料)の表面分析に用いる試料準備法の標準化を進めるとともに、生物材料の表面分析に用いる試料の準備・保管・輸送に関する標準化を進めています。
光学的界面分析WG
TC 201/WG 5:光学的界面分析
スコープ: 光を用いた表面分析法に関する標準化
ISO/TC201/WG5では、近年、大きな注目を集めている顕微ラマン分光法、蛍光顕微鏡法、エリプソメトリー法、表面プラズモン共鳴法、白色干渉法などの、光を用いた表面分析法に関する標準化を推進しています。試料表面の分子と光との相互作用を利用した表面分析法では、これまでに広く用いられてきている他の表面分析手法と比較して、大気圧下で非破壊かつリアルタイムに表面分析が可能である、という魅力があります。その一方で、装置の校正方法や各測定パラメータの定義、標準的な測定法、評価法などについては十分に議論されておらず、評価結果の同等性や信頼性に対する検証も十分ではありませんでした。このため、光を用いた表面分析法を客観的にも信頼できる測定法として確立していく上では、国際的な標準化に向けた活動とそれに関する規格の整備が非常に重要となります。現在、ISO/TC201/WG5では、韓国KATS のKim 教授を国際コンビーナとして、国内では関連団体の協力も仰ぎながら、国際標準化活動や関連するラウンドロビン試験などを進めています。
TC 202 国内 WG
TC 202:マイクロビームアナリシス
スコープ: 電子の入射ビームを用いて電子または光子を検出するマイクロビーム分析法の領域における標準化( ただし、用語や電子線マイクロ分析、分析電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡などの個別の手法は傘下のSC が担い、TC202 では共通手順、データ管理の他、EDS、EBSD などの周辺技術を取り扱う)
TC202 国内WG の委員のほぼ全員は毎年秋に開催されるTC202 総会に参加しています。この総会を軸として各国の代表との交流を深め、TC202 の活性化について議論を継続してきました。ただ、幹事国の中国はTC202 の活動分野の拡大への意欲が先行し、放射光分野への進出や、電子ビーム以外のあらゆる励起源をスコープに盛り込むなど、実現性の低い提案をすることも繰り返してきました。これに対し、AEM-WG の主査でもある亀井委員が収束イオンビーム(FIB)による試料加工技術の標準化を2019年の総会で提案し、既に日本で開始しているフィージビリティ・スタディの内容を杉山委員が紹介したことにより、中国の議長もこれに沿ってTC202 の活動範囲を一歩広げることに方針を変えました。TC202 が直接関与する標準化活動は共通手順、データ管理、エネルギー分散X 線分光(EDS)と電子線後方散乱回折(EBSD)です。2020 年末時点で6 件の国際標準を発行し、新規格の開発を3 件と改訂を2 件進めています。これらの個々の規格開発や改訂への対応はEPMA-WG やAEM-WG の協力を得ながら進めています。3 つの新規格開発プロジェクトのうち1 件は日本提案のEBSD 関連規格で、プロジェクトリーダはAEM-WG に所属しています。 今後もEBSD、EDS 関連の標準化活動を同様の体制で進めていきますが、今後はデータ管理の領域もさらに重要になると考えています
Terminology WG
TC 202/SC 1:用語
スコープ: 透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、及び電子線マイクロアナライザー(EPMA)技術分野で使用される用語やそれらの試料作製法に関わる用語を体系的に定 義・整理し規格化
電子線マイクロアナライザー、走査電子顕微鏡、分析電子顕微鏡(AEM)に関する用語の定義と規格化を行ってきました。いずれも5 年後の見直しを行いました。今後は、透過電子顕微鏡用の試料作製技術としての集束イオンビーム加工技術に着目し、新しい用語の規格化を日本より提案する予定です。
EPMA WG
AEM WG
TC 202/SC 3:分析電子顕微鏡
スコープ:TEM の装置仕様、装置操作、データ採取、データ処理、定性分析、定量分析についての規格化
「 電子回折法」、「TEM 倍率校正法」、「電子回折によるワイヤ状結晶の優先成長方位決定法」および「TEM による積層膜界面位置決定法」の4 件の規格が成立しました。また「TEM/EELS エネルギー分解能決定法」がFDIS 段階へ「TEM/EELS エネルギー値校正法」がCD 段階にあり順調に審議が進んでいます。今後は、日本からTEM 像分解能決定法に関する国際標準規格を新たに提案するための検討を進めています。またTEM 試料加工技術としてのFIB 技術についての規格づくり活動を日本主導で開始し、すでにWW でのニーズ調査活動が完了しています。本年度から国際標準作成に向けてラウンドロビンテスト含む本格的な開発を開始する予定です。
TC 202/SC 2:EPMA
スコープ:電子プロ―ブマイクロ分析の計測法、条件、方法と参照試料に関する標準化
1993 年にTC202/SC2 が設立されて以来、EPMA-WG は5 つのEPMA の規格を提案、開発してきました。それらは、「実験条件決定ガイド」、「定性分析のガイド」、「定量分析のガイド」、「元素マッピングの方法」というEPMA の分析技術の4 つの基本を網羅しています。また、「WDS とEDS を利用した粉体試料分析のための試料調整方法」の規格も当WG から提案、開発したものです。 応用分野としては鉄鋼関係を中心に活動してきており、日本からは「検量線法を用いた鉄鋼中の炭素含有量の決定のためのガイド」を提案・開発し、現在は、中国が提案している「連続鋳造鉄鋼製品の中のマンガン樹状析出の定量分析」のドラフトに対して修正コメントを出してきています。 EPMA-WG の今後の活動の中心は発行済み規格をより実用的で有用な規格へ改訂する活動になると考えています。
SEM WG
TC202/SC4 走査電子顕微鏡
スコープ:走査電子顕微鏡(SEM)の装置仕様、装置操作、データ取得、データ処理、定性・定量分析についての規格化
SEM は、電子銃から出た電子ビームを集束レンズ゙と対物レンズ゙によって細く絞り、試料面に照射します。このビームを偏向装置によって、試料面上を走査することにより、試料から発生した2次電子による拡大像を得ます(SEM の原理図を参照)。拡大(観察倍率)の範囲は数倍から数百万倍です。図の写真は、肉眼では平坦な膜に見えても、拡大するとnm クラスの粒子群として観察される例です。SEM は、幅広い分野で使用されている装置ですが、装置メーカーが異なっても機能や性能を比較できるように標準化が行われています。例えば、成立した国際規格には 、
・ISO 16700 : 2016( 第 2 版)– SEM 像の観察倍率の校正
・ISO/TS 24597 : 2011 -- SEM 像のシャープネス(鮮鋭度)評価法
・ISO 21466 : 2019 -- CD-SEM(測長SEM)による線幅評価の方法などがあります。
また、国際規格を目指して活動している日本提案のテーマとしては、
・SEM 像のシャープネス評価法(DR 法)を改良し、正確な評価法の開発
・ 装置や装置メーカーが異なっても、画像ファイルから画像や画像取得の条件等を共用可能にするSEM 用の画像フォーマット(TIFF/SEM)の開発などがあります。
< お問い合わせ > 一般社団法人 表面化学分析技術国際標準化委員会 事務局 〒305-0051 茨城県つくば市二の宮 1-2-3 ベルコムつくばビル 202号室 TEL:029 -893 -5371 FAX:029 -893 -5372 E-MAIL:jsca@jsca-jisc.org アクセス
© 2025 Japan National Committee for Standardization of Surface Chemical Analysis